今年もいよいよプロ野球のシーズンが始まりますね。
野球と言えば大谷翔平選手のドジャース移籍や結婚の話題で、もっぱらメジャーリーグ(MLB)が盛り上がっていますが、日本のプロ野球(NPB)も負けてはいません。
セリーグでは2023年に阪神タイガースが38年ぶりに優勝し、今年は2連覇を狙います。
一方パリーグでは、やはり2023年に新球場に移転した日本ハムファイターズ(日ハム)がもっぱら話題になっています。
北海道のスポーツファンにとって、札幌ドームと日ハムの経緯は非常に重要な話題です。
日ハムの札幌ドームからの移転は、多くの議論を呼んでいます。
この移転の経緯を知ることで、日ハムと札幌ドームの関係性や命名権の売却、そして赤字問題の深層に迫ることができます。
命名権の取り扱いや赤字の問題は、札幌ドームの未来にも大きく関わっています。
日ハムの新しいスタートは、札幌ドームにとっても新たな挑戦の始まりです。
もくじ
札幌ドーム日ハム経緯は?
札幌ドームフェスの広告、大通で見つけましたー!!
Chevon初札幌ドーム!応援に行きま〜す!𓃲𓃵💚❤️💛 pic.twitter.com/AU27GjPG1M— つきよ(月夜之猿) (@tsukiyomusaru) March 19, 2024
日ハムは長年、札幌ドームをホームとして利用してきましたが、その間には様々な出来事がありました。
建設から現在に至るまでの経緯をたどると、日ハムの移転決定や、新球場「エスコンフィールド北海道」の誕生など、重要な転機がいくつも見えてきます。
これらの出来事は、北海道での日ハムの人気にも大きな影響を与え、結果として新球場の経済的成功へと繋がっています。
さらに、札幌ドームと日ハムの関係は、時間と共に変化し、いくつかの挑戦に直面してきました。
では、札幌ドームと日ハムの関係性の基礎から掘り下げていきましょう。
札幌ドームと日ハムの関係悪化
札幌ドームと北海道日本ハムファイターズ(日ハム)の関係は、長い間良好でしたが、使用料の問題が両者の間に溝を生じさせました。
日ハム側は、札幌ドームの使用料が他の球場に比べて過剰に高いと感じていました。
具体的には、2022年の資料によると「現在は賃借料や運営コストで年間 20 億円弱の費用を支払っている」とのことで、この使用料が日ハムにとって大きな負担となり、球団の経済状況に影響を与えていました。
この高額な使用料に関して、日ハムは札幌ドーム側に何度も値下げを求めましたが、交渉は決裂しました。
札幌ドーム側は使用料の値下げに応じず、さらには条件を厳しくする一方でした。
球団と札幌ドーム側との間で高い使用料や施設についての交渉の結果、ついに日ハムは自身のビジョンを実現するため、新たな球場の建設を決意します。
日ハム側は、札幌ドームとの長い関係に一時的な終止符を打ち、北広島市に「エスコンフィールド北海道」という新しいホームを築くことになりました。
この決定は単に使用料の支払という経費面だけではなく、アメリカのような「ボールパーク」という総合娯楽施設を建設することによる相乗効果で、売上の増加も見込んだポジティブなものです。
北広島市への移転は賭けだった?
北海道日本ハムファイターズの新球場、エスコンフィールド北海道への移転は、札幌市から北広島市へという大きな変化を伴いました。
この移転は、多くのファンや関係者にとって、計り知れない賭けのように映ったかもしれません。
何しろ200万都市札幌から人口6万人に満たない北広島へ移転するわけですからね。
しかし日本ハム側にはよほどの勝算があったのでしょう。
そして現在のところ、この賭けは成功していると言えます。
エスコンフィールド北海道への期待
新球場は、ファンにとって快適で魅力的な観戦環境を提供し、それがさらに多くの観客を球場に引き寄せています。
最新の設備と充実したサービスは、観戦体験を一層豊かなものにし、ファンの満足度を高めています。
また、新しいスタジアムが地域社会にもたらす経済的な恩恵は、地域の活性化に大きく貢献しており、これがさらに球団への支援を促しています。
結果として、北広島市への移転という賭けは、北海道日本ハムファイターズにとって大きな勝利をもたらしました。
売上高利益ともに大幅アップ
この成功は、球団の未来に向けた新たな基盤を築くものとなり、その価値は計り知れません。
2024年発表のIR資料によると、2019年(コロナ前)の売上高157億円、利益約10億円に対し、2023年の実績では、売上高251億円、営業利益36億円と、初年度から大幅な利益増という結果を出しており、球団側としては移転は成功しています。
北海道日本ハムファイターズとエスコンフィールド北海道の物語は、まだ始まったばかりですが、この賭けに勝ったことで、球団の新たな章が開かれたと言えるでしょう。
札幌ドーム命名権売れたのか?
LIVE当日の地下鉄、増便されるそうです#kinggnu#KingGnuDomeTour#THEGREATESTUNKNOWN #札幌ドーム pic.twitter.com/5ffLQ8AFTp
— あずきあらい (@Azukishiratama_) March 16, 2024
札幌ドームの命名権販売は、スポーツ界とビジネス界の間で大きな関心事となっています。
命名権とは、英語で”ネーミングライツ”と言い、それを購入した企業がその施設の名前に自社のブランド名を冠する権利のことです。
命名権は一般的に、施設の運営費用を賄うためや、新たな収益源を確保する戦略として利用されます。
現在NPBでは多くのの球団が命名権を販売しています。
この章では、命名権すなわちネーミングライツビジネスと、札幌ドームの命名権販売の現状について考察します。
命名権ビジネスの現状
現在は、プロ野球以外も含め命名権ビジネスが盛んにおこなわれています。
国内施設のTOP5は下表のとおりです。
順位 | 年間契約金額(単位:万円) | 命名権による施設名称 | 正式名称 | 取得企業・団体 | 期間 | 使用団体 |
1位 | 50,000 | 福岡 ヤフオク!ドーム | 福岡ドーム | ヤフー | 2005.3.1〜 | 福岡ソフトバンクホークス |
2位 | 31,000 | ZOZOマリンスタジアム | 千葉マリンスタジアム | スタートトゥデイ | 2016.12.1〜(10年間) | 千葉ロッテマリーンズ |
3位 | 25,000 | MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 | 広島市民球場 | マツダ | 2009.4.1〜(10年間) | 広島東洋カープ |
4位 | 24,000 | 味の素スタジアム | 東京スタジアム | 味の素 | 2003.3.1~(16年間) | FC東京 |
東京ヴェルディ | ||||||
5位 | 20,100 | 楽天生命パーク宮城 | 宮城野原公園宮城球場 | 楽天 | 2014.1.1~2019.12.31 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
札幌ドームも、日ハム移転後の経済的挑戦に直面し、新たな収益確保の手段として命名権の販売を模索しました。
この命名権販売の取り組みは、札幌ドームにとって新たな可能性を開く試みであると同時に、多くの疑問を投げかけています。
次に、この命名権販売に焦点を当て、その戦略と結果、そしてその影響について詳しく見ていきましょう。
命名権販売の現状は?
札幌ドームは、命名権販売を通じて新たな収益源を見出そうという挑戦に乗り出しました。
この戦略は、日ハムファイターズの移転によって生じた経済的空白を埋める一環として計画されました。
札幌ドーム側は、命名権の販売を通じて、施設のブランド価値を高めるとともに、安定した収入を確保しようと試みました。
金額は年間2億5,000万円以上、契約期間は2〜4年とされていました。
命名権の応募は、2024年2月末まで募っていましたが、残念なことに応募はありませんでした。
札幌市では、複数の企業から問い合わせがあったことから、条件は同じまま現在も応募を受け付けています。
契約合意に至らなった理由は、高額な販売価格と限定された契約期間がハードルとなったと考えられていますが、条件変更なしというのはちょっと強気すぎる気がしますね。
この結果は、プロ野球の根強い人気を改めて示すと共に、他のスポーツ施設の命名権市場の厳しさを浮き彫りにしました。
筆者の勝手な思い込みでは、現在家具、インテリア販売で全国的に絶大な人気を誇る「ニトリ」あたりが手を挙げるのではないかと思っていましたが、残念ながら宛は外れました。
この経験から札幌ドームは、命名権販売だけでなく、施設の魅力を高め、より多くのイベントや来場者を惹きつけるための新たな戦略を模索する必要に迫られています。
札幌ドームの赤字は必至?
秋春制になったら、北海道コンサドーレ札幌は札幌ドームでホームゲームを開催しないと絶望的なのだが。 pic.twitter.com/Lkv6kHiIxe
— 謎の人 (@nazo_no_hito) March 19, 2024
札幌ドームが直面している赤字の問題は、多くのスポーツファンや地域住民にとって深刻な関心事です。
日ハムの新球場への移転は、札幌ドームの運営に大きな影響を与えました。
この移転が札幌ドームの収益にどのような影響を与えるのか、そして赤字は本当に避けられないのか、その見通しについて掘り下げてみます。
日ハムが移転した後の札幌ドーム利用状況と、それに対する札幌ドームの新たな試みも大きな焦点となっています。
札幌ドームの赤字拡大の見通しと、新球場移転後の影響について詳しく見ていきましょう。
赤字拡大の見通し
長年にわたりドームを使用していた日ハムが新球場「エスコンフィールド北海道」へ移転したことで、札幌ドームの収益構造に大きな穴が開きました。
それでも2022年6月に、札幌市がまとめた2023~2027年度の収支見通しでは、2023年度決算の見通しが純損益2億9,400万円の赤字となるものの、2024年度には黒字転換し、トータルの収支は900万円の黒字を確保するという予測でした。
しかしイベント誘致も予定より少なく、新しい試みの「新モード」も苦戦が続いています。
命名権を含む広告収入も5億円程度を見込んでいましたが、見通しが未だ立っていない状況となっています。
やはり日ハムの試合から得られていた収入の減少は、ドーム経営にとって大きな痛手となりました。
これにより、黒字転換どころか赤字拡大の見通しが懸念されています。
札幌ドームの赤字は、使用料の問題だけではなく、広告収入の減少や命名権販売の難航など、複数の要因によって引き起こされています。
フランチャイズとして残ったコンサドーレ札幌の試合での入場料収入と、コンサートや他のスポーツイベントなどの誘致拡大と命名権販売で、当初は早期黒字転換を見込んでしましたが、やはり市側の試算は甘かったようです。
札幌ドーム利用状況の変化
札幌ドームは、プロ野球とプロサッカー球団の両方の本拠地として利用できる、世界でも珍しいスタジアムです。
しかし収益の柱であった北海道日本ハムファイターズの移転に伴い、大きな転換期を迎えています。
日ハムの移転は、札幌ドームにとって最大の収益源を失うことを意味しました。
これにより、ドームは以前にも増して、他のイベントの誘致に力を入れる必要に迫られています。
日ハム移転が去ったした後の影響はかなり深刻で、ドームの利用状況は大きく変化しています。
特に、プロ野球の試合という定期的な大規模イベントがなくなったことで、来場者数に大きな影響が出ています。
この状況に直面し、札幌ドームは新たな試みを積極的に行なおうとしています。
その一つが、多目的に利用可能なイベントスペースとしての機能を強化し、コンサートや展示会など、スポーツ以外のイベントの開催を増やすことです。
再建にはしばらく時間がかかる?
また、命名権の販売や施設内の改修を通じて、新しいビジネスモデルを確立しようと努めています。
これらの新たな試みは、札幌ドームの収益向上とブランド価値の再構築に向けた重要なステップとなっています。
さらに、札幌ドームは、「新モード」と呼ばれる斬新なアイデアを導入しました。
これは、施設をより柔軟に活用し、さまざまなサイズのイベントに対応できるようにすることで、新たな顧客層を獲得することを目指しています。
しかし、これらの新たな試みが札幌ドームの経済状況を大きく改善するには、まだ時間が必要であると考えられます。
日ハム移転後の影響を克服し、札幌ドームが地域社会における中心的な役割を再び果たす日は、はたしていつ訪れるのでしょうか?
最新:コンサドーレも移転か?
日本ハムファイターズが去った後の札幌ドームの頼みの綱は、サッカーのプロチームであるコンサドーレ札幌です。
しかし、現在北海道コンサドーレ札幌の本拠地として使用されているものの、コンサドーレのJ1リーグでの低迷が続いており、J2降格の可能性が現実化すれば、クラブの予算規模が縮小し、ドームの高額な使用料が大きな負担となる可能性があります。
ドームのピッチ状態の悪さや、サッカー選手にとっての危険性も問題とされ、本拠地移転の可能性も示唆されています。
最新の情報によると、創設時から使用している「聖地」札幌厚別公園競技場や宮の沢白い恋人サッカー場を回収して移転すればよいのでは?という声も出ています。
ドーム側が日ハムに対して取った強気の姿勢をコンサドーレ札幌にも示すとなると、移転話も本格化する可能性が大きいです。
まとめ
1週間でキーパーさん相当な努力されたんだろうな。。。緑少し戻ってきた。#consadole #札幌ドーム pic.twitter.com/7EfgvPoZQ5
— むこら (@mucolabo) March 16, 2024
日ハムが新しい球場へ移転した経緯には、札幌ドームとの間に生じた様々な問題がありました。
特に、施設の使用料に関する議論は、両者の関係に亀裂を生じさせた一因となりました。
施設の名前を企業に売却する命名権売却の試みは、直面している経済的困難を解消する策の一つでしたが、期待通りの効果は見られませんでした。
この命名権売却戦略が望む結果をもたらさなかったことは、引き続き財政的な挑戦を抱える札幌ドームにとって、赤字という解決すべき最大の課題を残しました。
日ハムがエスコンフィールド北海道へと拠点を移したことは、札幌ドームにとって新たな挑戦の始まりを意味します。
この変遷を通じて、札幌ドームは重要な収入源を失うことになり、これを契機に施設の多様な活用法を模索する必要性が生じました。
札幌ドームが進める新しい取り組み、たとえば様々な用途での利用促進や新規イベントの開催は、将来的な赤字解消への希望をもたらすのでしょうか?
この一連の出来事を振り返ると、札幌ドームと日ハム、そしてそれらにまつわる数々の挑戦と成長は、北海道のスポーツ及びエンターテインメント界における顕著な変化を示しています。
赤字転落からの回復はいつになるのか?
札幌ドームのこれからの展開は、これらの出来事を基にどのように進化していくのか、関係者やファンが注目しています。
札幌ドームと日ハムのこれまでの経緯が、双方はもちろん地域社会全体にとっても建設的な未来を築くための貴重な学びとなることを願っています。
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